Sa Majesté Delphi, roi des chats (3) |
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スペインに旅立ったデルフィー Delphi à la conquête de l'Espagne... |
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デルフィーが誰のことか分からない方は、こちらへ | ||||||||||||
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【姿を消したデルフィ】 | |||||||||
そんなデルフィーも、年をとってからは、かなり体が弱ってきました。勇敢なだけに、危ない目にあうことが多かったのです。耳の先はちょんぎれてしまったし、目も片方が赤く充血してしまいました。 そして、秋も深まったころ、デルフィーの姿が見えなくなりました。家の人たちは、あらゆるところを探し回りました。ブルゴーニュでは、有名な話があるのです。 |
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【デルフィはスペインに旅立った】 | ||||||||
でもボクたちのデルフィーは、何カ月たっても帰ってきませんでした。 いなくなる前の数週間、いつもの元気がなくて、ウツラウツラ寝てばかりいたそうです。デルフィーのような気丈なネコは、誰にも見つからない所に行って最後を迎える勇気があったのだろうと、みんな思いました。 でも家族の人たちは、デルフィーが死んでしまったとは信じたくありません。それで、デルフィーはスペインに行ったのだということにしました。どうしてスペイン? デルフィーがいなくなる前の年の冬、家族の人たちは、スペインの南にあるアンダルシア地方で休暇を過ごしたからでした。 お話はどんどん膨らみました。デルフィーがスペインに行ったのは、ブルゴーニュの冬が寒くて長いので、冬でも太陽があるアンダルシア地方に行ったのだ。ただ太陽を求めたのではない。アンダルシアに王国を築いたのだ。あるいは、スペイン王家の跡継ぎになって欲しいという手紙が来たからだ。キリスト教を復興させるために、スペインに新しい法王庁をつくったのだ、などなど…。 お客さんが来ると、「デルフィーはどうしたの?」と聞きます。子どもたちは「スペインに行ったの」と答えました。 そう言われた人たちは、「え?! スペインに? どうして?・・・」と、目を丸くして聞きます。 でも「ブルゴーニュの冬は寒いから」と言ったって、納得してくれません。ひとりでヴァカンスを過ごしに行ったネコの話しは、いくらヴァカンスの国フランスでも、まだ聞いたことがありませんから。 |
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【そして、ディエゴの到着】 | ||||||||
いつもの年のように、美しい春になりました。そして、ある晴れた日、太陽が輝く日、ディエゴがやって来たのです。 家族の人たちには、スペインに行ったデルフィーが送り込んできたネコだと、すぐに分かりました! ディエゴは、隣にある空き家の庭で、お腹をすかせて泣いていました。まだ生まれてから半年もたっていないような小さなネコでした。 呼びかけられると、ディエゴは「ミアウ〜、ミアウ〜」と返事しますが、その場を動きません。家に残っていたキャットフードを入れたカゴに紐をつけて、隣の家との境にある石垣の上からおろされました。 するとディエゴは、ためらいながらもカゴの中に入ってきたのです。 こうしてディエゴが釣り上げられました。 |
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続く |
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