Sa Majesté Delphi, roi des chats (3)
スペインに旅立ったデルフィー
Delphi à la conquête de l'Espagne...
デルフィーが誰のことか分からない方は、こちらへ1つ前のページに戻ります
 
 続きを書くのが遅くなってしまいました。ごめんなさい。ネズミが逃げ回るので、なかなか捕まらなかったのです…。 
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 ようやくデルフィーの写真を借りることができました。

 これを見て気が付いたのですが、彼は、ボクと同じように首の下に白いナプキンをつけていますね。でも、ボクのトロンとした目と違って、デルフィーは厳しそうな目をしています…。 
左の写真にを近づけると、デルフィーとボクを比較できます。
 近所に悪者がいると、デルフィーが駆けつけて退治していました。
 ボクはネズミさえ捕まえられないのですが、デルフィーはハンティングも上手だったそうです。

 右の写真は、デルフィーの犠牲になってしまった小鳥です。獣医さんからも見放されたので、フキンに包まれて養生してもらったけど、助からなかったそうです。
 何だか恨めしそうな目をしていますね…。
 でも、生きていくって大変なことです。ボクたちだって、毎日、危険な目にあっているのですから。 
シジュウカラ属の鳥です (MESANGE BLEUE)
【姿を消したデルフィ】
 そんなデルフィーも、年をとってからは、かなり体が弱ってきました。勇敢なだけに、危ない目にあうことが多かったのです。耳の先はちょんぎれてしまったし、目も片方が赤く充血してしまいました。

 そして、秋も深まったころ、デルフィーの姿が見えなくなりました。家の人たちは、あらゆるところを探し回りました。ブルゴーニュでは、有名な話があるのです。
南仏から歩いて帰ってきたグリンゴ
 グリンゴ(Gringo)という、フランス中部にあるディジョン市に住んでいたネコが主人公です。

 グリンゴは南フランスで長い休暇を過ごした家族は、最後の日に、どうしてもグリンゴが見つかりませんでした。出発を少し伸ばしたのですが、何日も帰宅を遅らせるわけにいかないので、家族の人たちはあきらめてディジョンに戻りました。

 すると、どうでしょう! 何ヶ月もたってから、グリンゴは家に戻ってきたのです。痩せさらばいて、怪我もしていて、それはそれは哀れな姿だったそうです。

 南フランスからディジョンと言ったら、すごい距離です。高速道路でスピード違反をして車を飛ばしても半日はかかります。

 犬に方向感覚があるのは知られていますが、ネコにもその能力があったのかということになって、フランスでは大変な話題になりました。グリンゴの話は、本にもなったのです。
【デルフィはスペインに旅立った】
 でもボクたちのデルフィーは、何カ月たっても帰ってきませんでした。

 いなくなる前の数週間、いつもの元気がなくて、ウツラウツラ寝てばかりいたそうです。デルフィーのような気丈なネコは、誰にも見つからない所に行って最後を迎える勇気があったのだろうと、みんな思いました。

 でも家族の人たちは、デルフィーが死んでしまったとは信じたくありません。それで、デルフィーはスペインに行ったのだということにしました。どうしてスペイン? デルフィーがいなくなる前の年の冬、家族の人たちは、スペインの南にあるアンダルシア地方で休暇を過ごしたからでした。

 お話はどんどん膨らみました。デルフィーがスペインに行ったのは、ブルゴーニュの冬が寒くて長いので、冬でも太陽があるアンダルシア地方に行ったのだ。ただ太陽を求めたのではない。アンダルシアに王国を築いたのだ。あるいは、スペイン王家の跡継ぎになって欲しいという手紙が来たからだ。キリスト教を復興させるために、スペインに新しい法王庁をつくったのだ、などなど…。

 お客さんが来ると、「デルフィーはどうしたの?」と聞きます。子どもたちは「スペインに行ったの」と答えました。
 そう言われた人たちは、「え?! スペインに? どうして?・・・」と、目を丸くして聞きます。
 でも「ブルゴーニュの冬は寒いから」と言ったって、納得してくれません。ひとりでヴァカンスを過ごしに行ったネコの話しは、いくらヴァカンスの国フランスでも、まだ聞いたことがありませんから。
【そして、ディエゴの到着】
 いつもの年のように、美しい春になりました。そして、ある晴れた日、太陽が輝く日、ディエゴがやって来たのです。
 家族の人たちには、スペインに行ったデルフィーが送り込んできたネコだと、すぐに分かりました!

 ディエゴは、隣にある空き家の庭で、お腹をすかせて泣いていました。まだ生まれてから半年もたっていないような小さなネコでした。

 呼びかけられると、ディエゴは「ミアウ〜、ミアウ〜」と返事しますが、その場を動きません。家に残っていたキャットフードを入れたカゴに紐をつけて、隣の家との境にある石垣の上からおろされました。

 するとディエゴは、ためらいながらもカゴの中に入ってきたのです。

 こうしてディエゴが釣り上げられました。
 マウスを捕まえたので、その間に、続きを一気にタイプしてしまいます。

 この次のページは、ディエゴ君の話です。
トルナドより

続く 


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