牧場に生えるキノコ: ロゼ・デ・プレ
   Rosé des prés

 夏が終わりになる頃か、9月になると、牧場にキノコを探しに行きます。この頃の牧場には、薄紫色をしたイヌサフランの花も咲いています。

 牧場のキノコは、日本で言われるマッシュルームによく似た形をしています。
 遠くからでも白い色が目立って見えるので、森の中でキノコを探すよりは簡単に見つかります。もっとも、「いっぱいある!」と喜んで近づいてみると、石ころだったりすることもよくあります。ブルゴーニュなどは石灰岩の土地なので、小石も白いことが多いのです!

 家畜の糞がキノコを育てるのでしょう。牛がいる牧場にキノコが生えるようです。それを知らないうちは、草原を無駄に探し回っていました。

 というのも、放牧されている牛は草を食べつくすと場所を移動されるので、牧場になっていても牛がいない所もたくさんあるからです。フランスで肉牛を放牧している農家に牛の数と牧場の広さを聞くと、牛1頭あたり1ヘクタールくらいの広さがあるようなのです。

 牧場に生えるキノコの名前は「rosé des prés(牧場のピンク)」。傘の下の部分がピンク色をしているのです。
 左の写真で、@とAは大きく育ち過ぎてしまっていて美味しくないので取りません。

 BとCは、取ってひっくり返した状態です。Bはピンク色が濃くなってしまっているので、育ちすぎてしまっている状態。

 CとDが収穫する価値があるキノコです。

 日本でいうマッシュルームは、フランスでは「パリのシャンピニョン (champignon de Paris) 」と呼ばれ、人口的に栽培されたキノコです。名前に「パリ」と付いているのは、本当にパリの地下でも栽培されているからなのだそうです。

 牧場のキノコは、ひっくり返してみないと「パリのキノコ」とほとんど見分けがつきません。味の方は、私は「パリのキノコ」の方が、香りが強いし、サクサクしているので好きです。ただし、質が良くて新鮮な、真っ白の状態の「パリのキノコ」に限りますが。

 それでも牧場のキノコは、この時期だけしか食べられないので貴重に感じます。ジロルやセップなどは森で取ったものを八百屋さんなどで売っていますが、この牧場のキノコはほとんど市販されていません。自分で取らないと、誰かにご馳走してもらうか、たまに田舎のレストランなどで食べられる程度なのです。


 今年(2003年)は異常に暑くて雨が降らない夏でした。それで森のキノコは育たないので、見つけるのは殆ど絶望的。ところが、この牧場に生えるキノコはどうしたわけか異常に育ちました。

 10月末、牧場が多い地方を旅行したときには、車の窓からキノコがたくさん見えるので、車を止めてキノコ狩りをしました。土地の人たちは、9月から生えだしたキノコを食べ飽きてしまっていたようです。牧場のキノコは、生えたばかりで傘が広がっていないのが最高です。いくらでもあるので、そんな小さなキノコだけを選んで収穫しました。

 本来なら家畜がいないと牧場のキノコが育たないのに、明らかに家畜がいないような草むらにも生えているので驚きました。下の写真は、お城を観光するために訪れたお城の庭です。こんなところにもキノコが生えていたのです!

芝生の上に転がっている白い石ころのように見えるのがキノコです!

作成: 2003年9月  更新: 2009年9月



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