田舎の家で開かれた誕生パーティ 
Anniversaire à la campagne


食事の会場は、昔の納屋を改造した大きな建物。みんなが、この村の公民館より立派なのではないかと言っていました。

こんなホームパーティのときには、役場から折りたたみ式のテーブルやイスも借りる人も多いのですが、この家のテーブルはしっかりしているので自前のようでした。

このお家では、こんなに大勢で集まるパーティをしょっちゅうしているのだと思います。必要なものが何でもありましたので。大人数の食事会では紙皿が使われることが多いのですが、ここではちゃんとした食器です。

何種類もの前菜が食べきれないほど出されました。

この日は、招待客が前菜かデザートのどちらかを持ち寄るという形式。それをエディットは「カナダ式」と表現しました。どこかで覚えたのか、彼女が考え出したのか分かりません。フランス人でも、そんな言い方は聞いたことがなかったと言っていましたから。

3人の後ろに屈んでいるのが、誕生パーティの主役の2人

でも悪くない方法です。みんな自慢の料理を持って来たので、色々味わえました。私は前菜としてお寿司をつくって持っていったのですが、大変な人気をよび、待ちきれない人たちがプールサイドの食前酒のときに食べてしまいました。最近のフランスは大変な日本食ブームなのです。

この日のメイン料理は子羊のバーベキュー。

中庭の一角で、食事が始まる前から子どもたちがバーベキューを始めていました。

ヒツジを焼いているうちに夜もふけたので、ランプで明かりをとっての作業となりました(右の写真にマウスを近づけて見てください)。
 

招待客の中の1人が、知り合いの農家に大きな子羊1頭を注文したのだそうです。子羊と言っても、ずいぶんたくさんの肉ができるものです。切り分けたヒツジの部分によって、それぞれ違う下味が付けられていました。

ヒツジ肉の中でも一番おいしい「ジゴー(後ろ足のスネ肉の部分)」が切り分けられました。
とても上手に焼けていて、まさに絶品でした! ジゴーは、焼きすぎは禁物で、中がまだ赤い方が良いのです。と言っても、中には赤い肉や嫌だと言う人もいます。切り分ける人は、一人一人に好みを聞きながら配ります。

肉を刺した大きな串を持っておどけるエディット(左)

古いワインを出す前に、ラベルを見せてまわるホストの息子さん(右)
この日のソムリエは、ご主人の親友のお医者さん

ワインセラーからどれでもワインを持って来て良いと言われたそうで、本当に遠慮なく何十年ものという高級ワインを次々に出してきました!

この日のパーティで一番印象的だったのは、子どもたちが本当に良く働くことでした。

上の左側の写真に写っている白いワイシャツの男の子は、会場となった家の長男の高校生です。両親から「今日は君が接待の責任者だ」と言われたのだそうです。招待客が連れて来た子どもたちの手伝いも得て、その役を立派に果たしていました。

プールサイドでのバーテンも彼。バーベキューをする合間をぬってテーブルをまわり、お酒が充分にあるかなどにも気を配り、バーベキューが焼きあがると肉を持ってお給仕をしてまわりました。

ソムリエ役になった人がワインの試飲して、「少し飲み頃を過ぎているかも知れない」と言うと、彼はすぐに飛んできました。何十年もねかせたワインは、味が悪くなっているリスクが大いにあるのです。

「ワインが変だったら無理に飲まないでくださいね。気にしないで。ママがお料理に使うから、本当に遠慮しないで」などとまで言う気の使いよう。

フランスの子育ては厳しいので有名なのですが、最近では少子化の影響か、甘やかされて態度の悪い子どもたちが多くなりました。でも彼らは本当に良い子たちでした。


ところで会場となった納屋だった建物は、内部が3区画に分かれています。

入り口を入ったところは何もなく広々していて、食事の後にダンスをするためのスペース。その奥にテーブルを並べたスペースがあります。

仕切りの向こうに残りの1区画があって、なぜかマットレスが置いてあるので変に思ったのですが、真夜中になって理由が分かりました。犬のベッドだったのです!(右の写真)

チーズの後にデザートが出ることになると、こんな集まりではたいていダンスパーティになります。気がつけば、会場となった納屋にはステレオの装置もありました。

みんなが踊っているときに中庭に出ると、この夜生まれたらしい若いカップルが立ち話をしていました。そこに通りかかったご主人が、さりげなく二人に言いました。
 「プールサイドに行ってみてごらんなさい。ライトが当たっていてきれいですよ」

フランス人って、本当に気がきくな〜と思いました。そう、「ライトでロマンチックだから」などというヤボな言い方もしないのです。

帰る人が現れだした午前2時過ぎに私は引き上げましたが、残った人たちは、踊ったり、プールサイドでふざけたりして、明け方まで騒いでいそうです。

作成: 2003年8月


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