メフィスト編集長 (Méphisto)の編集日記

疲れによるアクシデント
Grosse fatigue accidentelle
- 2005年1月 -

 お祭り騒ぎが去ると、みんな「疲れた、疲れた」と言っていました。クリスマスからお正月まで、明け方までご馳走を食べる日々が続いたのですから無理ありません。ボクも、普段食べないものを食べ過ぎて、胃の調子がいつものようではない感じがしていました。

 人間たちは「少し骨休めをしよう」と言っていたので、ボクたちも真似しておくべきだったのかも知れない・・・、と今になって思っています。
 ご近所を散歩していると、みんなクリスマスからずっとワインを飲み続けていたのだと分かります。家々の庭の片隅にワインの空き瓶がいっぱい転がっているのでから! まるで戦いの後、野原に死骸が転がっているみたいに見えます。さぞ大変だったんだな・・・、とすごかった日々を想像して同情してしまうほどなのです。

 それにしても見苦しいので、早くガラス瓶を入れるゴミ箱に持って行って捨てれば良いのに・・・、と毎日思っていました。


 アテナが怪我

 そんなボトルの山があちこちにできていたせいなのかどうかは分からないのですが、アテナが足に怪我をしてしまいました。アテナはサイトのアシスタント・セクレタリーですが、ボクの姉でもあります。

 どんなヘマをして怪我をしたのかアテナに聞いたのですが、教えてくれませんでした。

 また何処かで鳥をつかまえようとしたら落っこちて、ガラスの破片の上に飛び降りてしまったのではないかと思います。冬にはあちこちの家に小鳥のための餌が木に吊るあるので、鳥がいっぱい集まってきます。それでアテナは、ねんじゅう鳥を追いかけていました。

 いっぱい血を流して、家の中をあちこち血だらけにしたあと、いつもは行かないような部屋の隅っこで、アテナはくた〜んと寝てしまいました。

 いつもは元気いっぱいのアテナなので、くた〜んとした姿を見るのは変な感じでした。寝ているところをのぞいてみると、顔をあげて、哀れっぽい目を向けたりするんですから!

 なんだか妹みたいな気がしました。もともと一緒に生まれたのですから、姉も妹もないのですが、姉ということになっています。というのも、ボクたちが出会うと、ボクが頭を下げて敬意を表する挨拶をしているように見えるからかも知れません。頭を下げると、アテナはボクの頭をなめてくれるので、いつもそうやっているだけなのですが。

 ともかく面倒見が良いアネゴみたいなので、彼女がしょぼんとしているのを見るのは、どうにも奇妙な感じがしてなりません。

 それでも2日寝ていたら、アテナの傷はふさがってきたようです。


 直ったのかな? と思ったとたんにアテナは外出して、ネズミを1匹連れて帰ってきました。まだ少しびっこをひいて歩いていたのに・・・。

 でも、近くにネズミをたくさん飼っている家があるので(誰も住んでいませんが)、捕まえるのはとても簡単なのです。

 彼女はネズミを捕まえると自慢したくて、いつも生きたままのネズミを鼻高々に口でくわえてきて、家の中でおっかけっこをして遊びます。

 いつもなら、家の人は「ネズミなんかを連れてこなくても良い」とたしなめるのですが、今回は怪我が治った証拠だと言って褒められていました。


 フローラも寝込む

 アテナが元気になったと思ったら、今度はセクレタリーのフローラがダウンしてしまいました。

 話の発端はこうです。

 お正月に、フローラは、のんびりと家族の人たちとテレビを見ていました。すると、すでにページを載せているパリのエルミネットとミーシャ姉妹のパパが出演しています。それで、ふっと思い出したのだそうです。姉妹一家が田舎でヴァカンスを過ごしたときの話をページにするのを忘れていた!

 そこでフローラは、シコシコとページのレイアウトを整えて2ページ作りました。色々なことがおこったヴァカンスだったので、おもしろい内容になったと満足したそうです。明日になったら読み直してサーバーに転送しよう、と思って寝ました。そしたら! 翌朝、パソコンが壊れて動かなくなってしまったのです。

 フローラが作ったページはパソコンの中の何処かに隠れてしまったので、もう探し出せないと分かったのだそうです。

 フローラは寝込んでしまいました。せっかく仕上げた仕事がみんな消えてしまったのですから、そうとうショックだったのでしょう・・・。死んだようにうずくまってしまって眠ってばかりいて、食事も喉に通らなくなりました。昼も夜も寝っぱなしで、死んだのかと思ってつっつくと、少し動いて生きていることを示すだけ。

 家の人たちは、フローラはついに老衰の時を迎えたのかもしれない・・・と、悲観的に考えたようです。

 ボクには、フローラが意気消沈して寝込んだだけだと分かっていました。それで、ボクがクリスマスプレゼントにもらったマタタビが入ったおもちゃを試してみないか、と申し出たのですが、もう少し様子をみてからにしたいと言われてしまいました。ご老体で興奮すると危ないんじゃないか、と言うのです。

 みんなマタタビがなんなのか知らないんです。ボクもつい最近までは知らなかったのですが、この匂いをかぐと元気がでてくることを発見しました。

 でもボクとしても、せっかくのクリスマスプレゼントをあげなくても良いことになった方が都合が良いので、無理には勧めませんでした。それでも、「やっぱり、マタタビを貸してくださいませんか?」と言われたら、男らしく、「いいえ、差し上げますよ」というべきだろうか?・・・、それとも、「どうぞ使ってください」と言って貸してあげるだけで良いだろうか?・・・と、さんざん悩みました。

 でも、心配することはなかったようです。2日したら、パソコンが動くようになって、それと同時に、フローラも起きだして動くようになったのです。


 なんだか奇妙に思ってしまった編集長のボク・・・

 その後のフローラは、ウソみたいにケロリとして、いつもと変わりません。ネコの一生には色々と予期しないこともおこるのだから受け入れなければならない、と悟ったのかな?・・・

 でも、エルミネットとミーシャのヴァカンスの話のページを作り直すのは嫌だ、なんて言っています。ボクは「ホームページというのは、あとで間違いが見つかったら直せるものなのだから、だいたいできあがったら転送しておけばよかったのに・・・」なんて言ってしまったものだから、フローラを怒らせてしまいました。編集長としては、彼女のくやしさが収まるのを待つしかありません。

 12月にはクリスマスプレゼントをもらって有頂天だったのに、なんだか次々と心配させられた新年の幕開けになってしまいました・・・。

 それにしても、どうして彼女たちはふたりとも2日間づつ寝込んだんだろう?・・・ かたっぽは3日間寝ていたって良かったではないか?・・・ 大したことがなかったのに、心配させてやりたい、なんていう女心の気まぐれなんだろうか?・・・ それに、なんでフローラのパソコンがダウンしたんだろう? クリスマスからお正月にかけて食べ過ぎた、というわけでもないだろうに・・・。とても不思議です・・・。

 ともかく、ボクのように責任のある立場にいると、これからも色々と気苦労が絶えないものなのだ、と覚悟できたような気がしています。これでボクも、ひとつ大人になったのかな?・・・

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