メフィスト編集長 (Méphisto)より
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いつか家に来たお婆さんが言っていたことを思い出しています。 「親しい人たちが、みんな次々去っていってしまうのが寂しい・・・」 ボクはまだ若いのに、お婆さんが言っていたことが身に染みています。長生きするって、そういうことなのかな?・・・と悟ってしまいそうになっているこの頃です。 ボクが臥せっていたら、家に遊びに来た叔母さんがなぜてくれて、「可愛そうに・・・。私も落ち込んでいるのよ」と言いました。 会社勤めをやめて仲間たちと仕事を立ち上げたのだけど、不景気でうまくいかない。責任者になっているので、若い子たちからは責められる。それから、若くて結婚した娘に就職口がないのも、滅入ってしまう原因なのだそうです。 フランスでは共稼ぎが常識なので、娘さんが働かないのはとても片身が狭いことなのだそうです。フランスの失業難はすごくて、何でもいいから働きたいと思っても、何にもないのだそうです。とくに働いた経験がない若い人たちは、率先力がないために会社が雇ってくれないので就職難は深刻とか。 よほどの高収入のご主人がいない限り、夫婦二人で働かないと、生活水準が高くなった今では家計費が足りないのだそうです。娘さんの若い旦那さんは優しい人なので、アルバイトもして一生懸命働いてくれるそうなのですが、家計費が足りないという話しになったとき、ついカッっとなって「君が働かないからいけないんだ!」なんて口走ってしまったりしたこともあったのだそうです。 娘さんのことは娘さんたちが解決すれば良い問題なのだから、心配することはないのに・・・、と叔母さんの友人たちも言っていました。親子が独立した個性と思われている国なのに、やっぱり親は子どものことを心配してしまうものなのでしょうか?・・・ 仕事がうまくいかないのは気の毒ですが、ご主人はかなりの地位にある公務員なので、娘さんのところのように生活に困るわけではないはずなのです。叔母さんには、それほど落ち込むほどの原因はないと思えてなりません。 フランス人って我慢が足りないと思う。生きるのは楽しむためにあると思っているから、楽しくないと、すぐに落ち込んでしまう! 落ち込んだからって自殺してしまう人もたくさんいます。楽しくないと、生きている価値はないと思ってしまうのでしょうか?・・・ フランス料理って栄養が偏っていて、我慢ができないような体質をつくってしまうのではないかとさえ思ってしまいます。 会社で働いている人は、精神的に元気がなくなったというだけで病欠できます。そんな人たちが山ほどいます。働き過ぎで元気がなくなったから南仏に行って2週間静養してくるんだ、なんて言って旅立って行く人も見たことがありました。南仏まで行ける元気があったら、働いている間に元気になれるのではないかと思ってしまいました 叔母さんの顔を見上げると、目がげっそりしていて、急に年をとったように見えました。いつもは元気いっぱいの人で、娘さんが赤ちゃんを産んだときなんかには、若くてお婆さんになったなどとはしゃしでいたのに・・・。精神病の薬なんか飲んでいると言うから、それが余計いけないのではかと思いました。 そもそも「落ち込んだ」なんて口に出して言うのは、本当はそれほど落ち込んでいない証拠ではないかと思います。ボクなんかは、落ち込んだって愚痴を言ったりはしません・・・。 ボクがなぜ落ち込んでいるかは、別のページにしました。 |
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