ある夏の夕食会
Une soirée d'été
 週末に開かれたパーティ

 この週末は、マモンが仲良しの友達を夕食会に招待しました。

 職場の人が2人入っています。普通は仕事とプライベートを区別するために会社の人とはお友達として付き合わない人が多いのだそうですが、この人たちとマモンはとても気が合って仲が良いみたいです。家族ぐるみのお付き合い。この二人はご近所に住んでいるので、家族でしょっちゅう遊びに来ています。

 とっても暑い夕方でした。みんなが集まってきて、庭のテラスに置かれた2つの白いテーブルを囲んで座ります。

 私はちょっと挨拶してから、すぐに別の庭に行って遊びました。

 テーブルがあったのは西側なので、夕日が当たって、耐え難いくらい暑かったのです。

 私のように北側の庭に来れば良いのに、みんなフーフー言っていました。西側の庭だと台所に近いので、食事が始まったら便利だと思って、マモンはそこに席をつくっていたのです。

「もう少ししたら、あの木に太陽が隠れるので涼しくなるわよ。あと30分くらいよ。見ていらっしゃいな。信じられないくらい涼しくなるから」、とマモン。

 マモンは、まだやって来ない1組を待って、食前酒を出さないでいました。みんな暑がっているのだから、さっさと用意していたシャンパンを出してあげれば良いのに・・・。

 なかなか来ないのは、ご近所に住んでいる友達夫妻でした。この人たちが遅れて来るのは、マモンには分かっていたみたいです。

 おじさんの方が足を骨折しているんです。夕方に看護婦さんが家にやって来て、いつもの手当てをして、それから、おばさんが車椅子を押して来る。だから、遅れてくるのが当然だったようです。

 それでもお客さんたちが、それとなく催促するので、マモンはシャンパンを出すことにしました。そうなると、おつまみを並べたり、シャンパンやグラスを持ってきたりして、また皆は暑いのに何も飲めないことにあえいでいました。

 ポーンと、シャンペンを抜く音が響いたのと同時だったと思います。誰かが、「あっ、車椅子が見える!」と叫びました。

 なんだか知りませんが、遅れた人というのは、みんなが「飲むぞー」という瞬間、その瞬間に姿を現すことが多い、と私は観察しています。

 おじさんが骨折したのはマモンのせい?!

 車椅子のおじさんが骨折したのには、この春、マモンと一緒にアルプスに旅行したときのことでした。

 ある日の夕方、マモンとおじさんだけで、ホテルの近くの山を少し散歩することにしたのだそうです。おばさんは、「気をつけてね〜」と、二人を送り出した。

 おじさんは自分の年を忘れて、マモンにかっこいいところを見せようとしたのではないかと思います。

 ちょっとした崖から飛び降りてみた。
 そしたら、右足を岩でくじいてしまった!

 くぼみになった所に落ちてしまって動けない。
 救急隊を呼んで、3時間もかけて救出したのだそうです。

 救急車で病院に担ぎ込まれて、骨折だと診断されました。お医者さんは、3カ月は足を地面について歩いてはいけない、1年くらいは普通に歩けないと宣言したそうです。もちろんヴァカンスは終わりにして、三人はブルゴーニュに戻りました。

 それから、もう3カ月近くなりますが、まだ車椅子と松葉杖なしでは生活できないようです。愚かなことをしてしまったものです・・・。

 会社には行っていないそうです。でも経理部のトップにいる人なので、普通のフランス人のようにのんびり病気休暇を過ごしてはいられない。

 秘書の人がサインをもらいに家にやって来たり、毎週のように家で会議を開いたりしているそうです。

 友達みんなは、「病欠中なのに家で仕事をしなければならないなんて、とんでもないことだ!」と怒っています。

 でも、本人は仕事が好きなので、気にはしていないみたい。それに、おじさんがサインをしないと、他の人たちは予算を使えないので、サインしないわけにいかないそうです。

 おじさんは普通に歩けないだけで元気そのものなのですから、たまに家に職場の人が来て仕事をするくらいはいいんじゃないか、と私は思ってしまいます。でも「とんでもないこと」なのかな?・・・ 働いたことがない私にはわかりません。

 雨が降りそうになったので、ガーデンパーティは中止

 ようやく皆がシャンペンを飲んで、夕日も木の陰に隠れました。喜んでいたのもつかの間、雲ゆきがあやしくなってきました。

 すごい風が吹いてきて、空は黒い雲で覆われました。

 あわてたみんなは、家の中で食事することにしたようです。ダイニングルームのテーブルを引っ張って引き伸ばしたり、椅子が足りないので庭から運んだり・・・。でも10人近く人間がいると、こんなことはあっというまにできてしまいます。

 というわけで、家で食事を始めた人たちの写真をお見せします。 

北側から撮った写真
くつろいでいるので、女性たちは靴を脱いでしまっています

南側から撮った写真
おじさんがレンタルしている車椅子を観察できます

 誰がいるのか見えない? でも、私が見たのは、こんなみんなの姿でした・・・。

 そのうち夜がふけると、こんな感じになりました。

見上げると、流し台の上の明りとり窓に皆が映っていました。
シャルダンの絵みたいでしょう?

こんな人たちが何を食べていたのかご興味がある方は、次のページに進んでください。
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