ミネットより 1/2
水色が大好きなアンリエットお婆さん
Minette, chat bleu ?...
みんな水色のお家!

 わたしの名前はミネット(Minette)と言います。わたしの名前を知らないはずの人も「ミネット」と呼ぶので不思議に思っていました。でも、ミネットというのは「子猫ちゃん」の意味なので、ネコの名前を知らなかったら「ミネット」とか「ミヌー」とか言うのだ、と後で教えてもらいました。

 わたしを育ててくれているのはアンリエットという名のお婆さんです。みんなには75歳と言っていますが、本当は今年80歳です。言ってしまっても良いのかな?・・・ 前にいたネコがいなくなってしまったので、家なしっ子だったわたしを家に迎えてくれました。とっても優しくしてもらっています。

 お婆さんは、知らない人はいないくらい有名人なのだそうです。

 何もしなくても目だってしまうのは、着ているものも、持ち物も全部水色だから。水色のペンキで、家の雨戸も窓枠も、自転車も、何から何まで、みんな水色にしてしまっています。

 あんまり水色のペンキで塗ってしまうので、わたしも水色にされてしまうのではないかと心配しました。でも、わたしは目が青味がかっているというだけで我慢してもらっています。
 家ではニワトリも飼っています

 わたしたちが住んでいる村には100軒くらい家があります。小さい村だと思われるかも知れませんが、このあたりではちょっとした大きな村です。

 小学校も郵便局もあるし、日用品を売る店、肉屋、パン屋兼カフェもあるのです。このくらいの大きさの村でこれだけそろっているのは自慢できることなのだそうです。

 アンリエットお婆さんの自慢は、手入れが行き届いた野菜畑と、卵をたくさん産むニワトリ。ウサギも飼っています。二人では食べきれないほどの食料があるので、町に住むお婆さんたちの子どもたちとか、親しい近所の人たちに分けてあげています。

 ニワトリ小屋の周りには金網が張ってあるので、わたしは遊びに行けません。お婆さんは、キツネにニワトリを食べられないように金網を張っているのだと説明していました。一匹やって来ただけで、一晩でみんなやられてしまうほど、キツネは危険なのだそうです。

 村には農家は2軒しかありません。でもニワトリやウサギを飼っているお家はたくさんあるし、もっと本格的な人はヒツジなんかも飼っています。典型的なフランスの田舎です。ちなみに、ここはブルゴーニュ地方という所だそうです。
 ハンドトラクターというあだ名

 アンリエットお婆さんの野菜畑には「雑草一本生えていない!」と、家の前を通りかかる人たちは驚いています。畑の手入れが良いのも当然なのです。アンリエットお婆さんたちは、昔は農業をしていたというプロなのですから。

雑草なんか全然生えていないイチゴ畑
 もう農業は引退しているのだけど、体を動かしていないといられないそうで、今でもご主人と一緒に近所の家の庭仕事のアルバイトをしています。フランスでは、みんな早く引退して年金生活をしたいと願っているので、お婆さんたちのように年をとっても働いているのはとても珍しいのです。近所の人たちは、お婆さんたちはお金持ちなのに、どうして働くの? と不思議がっています。

 アンリエットお婆さんに庭仕事をしてもらう人たちは、みんな感激しています。お婆さんがクワを持って耕し、お爺さんがその後について土から雑草を掘り出すのです。すごい勢いで耕していくのだそうです。それでアンリエットお婆さんのことを話すときには、ハンドトラクターなんていうあだ名で呼んだりする人もいるそうです。

アンリエットお婆さんと、ご主人
門も水色だったのですが、今年はペンキがなかったので緑色で塗ってしまいました
 お婆さんたちは55年前に結婚しました。婚約時代のお爺さんは、50キロも離れた村に住むお婆さんに会うために自転車で通ったのだそうです。


 昔ながらの生活を守って・・・

 お婆さんのお父さんは1931年に車を買ったそうです。当時は村には3台しかなかったのですって。

 でもお婆さんたちは、仕事に出かけるのも、買い物に行くのにも自転車。家には自家用車はありません。

 村にはバス・ストップがあって、1日3本のバスが来るそうです。でも、30キロくらい離れたところにある町まで行けるだけ。休日や祭日にはバスはありません。電車に乗ろうとしたら、町まで行ってから別のバスを待って、それから100キロくらい離れたところにある駅に行かなければなりません。その駅からパリまでも、1日3本の電車が出ているそうです。

 みんな車なしで、どうやって生活しているのだろうと思っているようですが、何とかなるものなのです。

 アンリエットお婆さんたちは、かたくなに昔ながらの生活を守っている貴重な存在なのです!
洗濯機もないお婆さんが川で洗濯する様子が、「ブルゴーニュの日々」のコーナーに入りました。

ページの題名は、

小川で洗濯するアンリエットお婆さん Henriette, il faut lavoir !!!

お婆さんが仕事に行くときにも使う水色の車もお見せします。
お婆さんは「voiture(自動車)」と呼んでいて、
わたしも時には乗ってしまって叱られている大事な車です。

2004年6月
ご近所に住むディディちゃんの家を紹介します 

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