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みんな水色のお家!
わたしの名前はミネット(Minette)と言います。わたしの名前を知らないはずの人も「ミネット」と呼ぶので不思議に思っていました。でも、ミネットというのは「子猫ちゃん」の意味なので、ネコの名前を知らなかったら「ミネット」とか「ミヌー」とか言うのだ、と後で教えてもらいました。
わたしを育ててくれているのはアンリエットという名のお婆さんです。みんなには75歳と言っていますが、本当は今年80歳です。言ってしまっても良いのかな?・・・ 前にいたネコがいなくなってしまったので、家なしっ子だったわたしを家に迎えてくれました。とっても優しくしてもらっています。
お婆さんは、知らない人はいないくらい有名人なのだそうです。
何もしなくても目だってしまうのは、着ているものも、持ち物も全部水色だから。水色のペンキで、家の雨戸も窓枠も、自転車も、何から何まで、みんな水色にしてしまっています。
あんまり水色のペンキで塗ってしまうので、わたしも水色にされてしまうのではないかと心配しました。でも、わたしは目が青味がかっているというだけで我慢してもらっています。 |
家ではニワトリも飼っています
わたしたちが住んでいる村には100軒くらい家があります。小さい村だと思われるかも知れませんが、このあたりではちょっとした大きな村です。
小学校も郵便局もあるし、日用品を売る店、肉屋、パン屋兼カフェもあるのです。このくらいの大きさの村でこれだけそろっているのは自慢できることなのだそうです。
アンリエットお婆さんの自慢は、手入れが行き届いた野菜畑と、卵をたくさん産むニワトリ。ウサギも飼っています。二人では食べきれないほどの食料があるので、町に住むお婆さんたちの子どもたちとか、親しい近所の人たちに分けてあげています。
ニワトリ小屋の周りには金網が張ってあるので、わたしは遊びに行けません。お婆さんは、キツネにニワトリを食べられないように金網を張っているのだと説明していました。一匹やって来ただけで、一晩でみんなやられてしまうほど、キツネは危険なのだそうです。
村には農家は2軒しかありません。でもニワトリやウサギを飼っているお家はたくさんあるし、もっと本格的な人はヒツジなんかも飼っています。典型的なフランスの田舎です。ちなみに、ここはブルゴーニュ地方という所だそうです。 |
ハンドトラクターというあだ名
アンリエットお婆さんの野菜畑には「雑草一本生えていない!」と、家の前を通りかかる人たちは驚いています。畑の手入れが良いのも当然なのです。アンリエットお婆さんたちは、昔は農業をしていたというプロなのですから。 |
雑草なんか全然生えていないイチゴ畑 |
もう農業は引退しているのだけど、体を動かしていないといられないそうで、今でもご主人と一緒に近所の家の庭仕事のアルバイトをしています。フランスでは、みんな早く引退して年金生活をしたいと願っているので、お婆さんたちのように年をとっても働いているのはとても珍しいのです。近所の人たちは、お婆さんたちはお金持ちなのに、どうして働くの?
と不思議がっています。
アンリエットお婆さんに庭仕事をしてもらう人たちは、みんな感激しています。お婆さんがクワを持って耕し、お爺さんがその後について土から雑草を掘り出すのです。すごい勢いで耕していくのだそうです。それでアンリエットお婆さんのことを話すときには、ハンドトラクターなんていうあだ名で呼んだりする人もいるそうです。 |
アンリエットお婆さんと、ご主人
門も水色だったのですが、今年はペンキがなかったので緑色で塗ってしまいました |