戦争直後から始まった
フランスのグリーン・ツーリズム振興

世界で初めてのヴァカンス法
フランスでは1936年に、年間15日の法定有給年次休暇を与えることを義務付ける法律が制定されました(世界で初めてのヴァカンス法)。
*その後、法廷年次休暇の日数は増え、現在では年に5週間以上となっています。

2つの世界大戦の間に位置する時期なのですが、人々は嬉々としてヴァカンス旅行に旅たちました。

しかし、間もなく第2次世界大戦が勃発したために、ヴァカンス旅行どころではなくなります。

旅の途中で食事...

戦争が終わって平和になったフランスには
ヴァカンス旅行ブームが訪れた

終戦直後に始まったグリーン・ツーリズム振興
世の中が平和になったとき、誰でもヴァカンスを楽しめるようにと、まず、農村部に安い費用で長期休暇を過ごせる宿泊施設が整えられました。

農村にある家族経営の小規模ホテル、農家の使わない建物を利用した貸し別荘型、安い費用で家族が滞在できるファミリー・ヴァカンス村などが整備されました。

もちろんグリーン・ツーリズム振興には、農村にある古い家屋を民宿として利用することによって保存すること、農村の経済を発展させるという意図もありました。

グリーン・ツーリズムの定着と発展
のんびりと農村で休暇を過ごすグリーン・ツーリズムは、本来の良さが評価されるようになります。1970年代の後半には、グリーン・ツーリズムはフランスで定着したとみられています。「安上がりの休暇」というグリーン・ツーリズムのマイナス・イメージもなくなります。

今では、農村で休暇を過ごす人たちは、むしろ裕福な階級で、教養もある人たちとなっています。そういう人たちは、芋を洗うように混雑した海水浴場よりも、農村の文化にひたり、自然ともコンタクトを持てる田園で過ごす方が良いと考えるからです。

ますます多様化する人々の好みに合わせてて、フランスのグリーン・ツーリズムのメニューは非常に豊富になってきました。

本当の豊かさを求めるグリーン・ツーリズム
フランスのグリーン・ツーリズム専門家には、グリーン・ツーリズムは不況になったり、気分が不安定になったりした時代に発展すると分析している人がいます。そのような時代には、自然や、伝統が残っている田舎に心の休まりを求める傾向が現れるのだそうです。

確かに歴史を振り返ってみると、そう言えるように感じます。イギリスで貴族たちが田舎に隠遁した社会背景、フランスでアモーが流行したのはフランス革命直前。最近ではオイルショックの後から、ヨーロッパ諸国でグリーン・ツーリズムが大きな人気を呼び始めました。

グリーン・ツーリズムは、工業が発達して都会化した国の人々に特に人気があります。田園が広がるフランスには周辺諸国の人たちが大勢来ています。夏に人口が少ない国の車の多さを見ていると、本国に残っている人がいるのだろうかと思ってしまうほどです。

フランスでは、田舎の空気を吸わないと生きていけないくらいに思っているような感じがあります。天気が良い日曜日や祭日などには町に住む人たちがこぞって田舎に行きます。商店が閉まっている日曜日には、地方の町はゴーストタウンのように閑散としてしまうくらいなのです。

日本では、万葉の時代から自然を愛していたように感じます。それに工業国。それなのにグリーン・ツーリズムがヨーロッパのようには発展していないのは不思議です。

「京に田舎あり、田舎に京あり」と言われ、都市と農村が混在していたからなのかも知れません。それでも江戸時代には、江戸っ子たちはヨーロッパの人々のように休日に田舎に出かけて行く風習があったようです。

バブルがはじけて本当の豊かさが求められるようになった今の日本でも、ヨーロッパのようなグリーン・ツーリズムが盛んになってくるのではないでしょうか?



Home 「グリーン・ツーリズム」コーナーの目次を表示します

Copyright © Bourgognissimo. All Rights Reserved.