法的な結婚、ユニオン・リーブル

 今のフランスでは法的に結婚していないカップルに対する偏見はなくなっていて、一緒に生活している男女のうち15%は法的な結婚手続きをしていません。

 同棲をみとめないカトリックが主流のフランスで、これだけ急速に同棲が定着したのは不思議なことだと思っています。法的な結婚をしていないカップルは、「ユニオン・リーブル(union libre)」などと呼ばれて定着しています。

 歴史を変えたのは、「五月革命」と呼ばれた1968年の学生運動。その後、女性解放が進みました。日本でも学生運動は激しいものがありましたが、その後に与えた影響はフランスほどには大きくなかったと思います。

 結婚という形式を望まないのは女性の方だ、とフランスの資料にはいつも書いてあります。でも私が生活しているフランスの地方では、やはり「結婚という形をとりたい」と望む女性の声を耳にします。友人たちを見ていると、法的な結婚を強制しているのは女性の方という感じがしています。

 女性が結婚を望まない傾向にある、というのはパリに住む進歩的な女性たちの存在が大きいからではないでしょうか。パリ首都圏には人口の5分の1が集中しているのですから、代表的な意見というのがパリの人たちのものになっても無理はありません。

 いづれにしても、結婚トライヤル期間とも言える同棲は一般化しています。男女が一緒に生活を始めるとき、カップルの9割は結婚していないのです。結婚するカップルの3分の2には同棲期間があります。

 生まれてきた赤ちゃんの親が法的な結婚をしているのは半分の割合。「私生児」などという偏見に満ちた言葉は、フランスでは間違っても使えません!


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参考文献
 『フランスの出生動向と家族政策』と題した報告書を書きました
女性解放の歴史についても記述してあります。
作成: 2005年2月
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