カーニバルの季節のお菓子

ベニエ
beignet de carnaval


ベニエ (Beignets de carnaval)
脂っこくなくて、からっと揚げられたべニエが美味しいです♪


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バレンタインデー
ガレット・デ・ロワ
日本ではバレンタインデーというとチョコレートがつきものですが、フランスではバレンタインデーに結びつくお菓子がありません。チョコレートは、むしろ復活祭のときにケーキ屋さんのショーウインドーをかざります。

バレンタインデーが近づくころ、ケーキ屋さんの店先からは「ガレット・デ・ロワ」が姿を消し、その代わりに姿を現すお菓子があります。

カーニバル(謝肉祭)にちなんだお菓子ベニエで、昔からある素朴な揚げ菓子です。バレンタインデーに付きもののケーキがないのは、この時期にはベニエがあるので、フランスの菓子業界はバレンタインデーならではの商品を考えなかったのかも知れません。

ベニエという菓子はドーナツのようなものですが、形がドーナツ形になったものは見たことがありません。

ところで、「ベニエ(beignet)」という単語は、揚げた菓子という意味の他に、衣あげのような料理に対しても用いられます。日本料理の天ぷらもベニエと言うとフランス人に通じます。


節食が始まる前にベニエを食べる

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フランスの祝祭日
伝統的には、謝肉祭の最終日「謝肉の火曜日(Mardi gras: マルディグラ)」の祭日にベニエを食べるのだそうです。
*この祭日は年によって異なり、2010年は2月16日、20111年は3月8日となります。

カトリックでは、このマルディグラの翌日から復活祭まで、日曜日を除いた40日間(四旬節)は、肉を食べてはいけないということになっているそうです。ですから節食が始まる前にはご馳走を食べ、デザートも脂っぽいものが良い、ということでしょうか?

ベニエは、少なくとも16世紀には存在していた古い庶民的なお菓子なのだそうです。歴史を少し拾ってみて面白かったのは、リヨンの町でのこと。

お肉屋さんがベニエをお得意さんにプレゼントしたのだそうです。1カ月以上も買い物に来なくなっても、忘れないで欲しい、ということでしょうか。今では、人々の信仰心も薄れて節食する人は例外的なのでしょう。それに伴って、ベニエを配ってくれるお店はなさそうです!



ベニエには色々な呼び名がある


このカーニバルの揚げ菓子のことを私は「ベニエ」と呼んでいるのですが、実はフランス語でも色々な呼び名があるのだそうです。

そう言われたのは、友達の家でメイドさんが作っていれたベニエを食べたとき(右の写真)。

ここの家ではgarguesse と呼んでいるそうです。方言なのでしょう。辞書を引いても出てきませんでした。

ところで、メイドさんが作ってくれたベニエは素晴らしく美味しかったのです。

どうしてそんなにおいしいのかと聞いてきたら、オレンジの花から作ったエッセンスを入れるのが秘訣なのだと教えてくれました。

後日、調べてみたら、確かにベニエには色々な呼び名が見つかりました。
しかも、形も色々あるのでした。妙な名前が付いているのもあるのが気になりました!・・・

揚げ菓子の呼び名、いろいろ
下のリンク線があるところは、別のサイト(フランス語)で紹介しているページへのリンクです(写真入り、レシピあり)。写真の下に「+」マークがあるときは、それをクリックすると写真が拡大します。

カッコ内はその呼び名を使っている地方の名です。

  • bugnes (Lyon)
    よく使われる言葉。リヨンで生まれて全国的に広がった。16世紀、リヨンでは修道女たちが作っていた。
    Bugne
    リヨンのスペシャリティと呼ばれるのはこちらの形:  Bugne lyonnaise
    でも、本物のリヨンのスペシャリティは、薄くてカリカリしたものだそうです: Bugnes lyonnaises extra-fines
    「パン屋さんの」と付けられている形:
     Bugne du boulanger

  • merveilles  = 素晴らしいもの
    伝統的な小さいベニエ。図形、人形、星など、どんな形でも良い。(3)が星形で、おばあさんのレシピと説明がありました。

     Merveille (1)     Merveille (2)     Merveille (3)

  • oreillettes (Provence)
    プロヴァンス地方のベニエ。オレンジやレモンの表皮を入れる。
    Oreillettes

  • pets de nonne = 修道女の屁
    フランシュ・コンテ地方のBeaume-les-Damesで作られた丸い小さなベニエ。
    Pets de nonne

そのほか・・・
  • bottereau (Anjou)
  • corvechet (Lorraine)
  • crottes d'âne  = ロバの糞
  • culs renversés = ひっくり返った尻
  • ganse (Nice)
  • guenille (Auvergne) = 古着?
  • mensogne  = 嘘
  • noeuds d'amour  =愛の結び目
  • pognons = お金
  • roussette (Alsace)
  • rousserolle
  • tourtisseau (Poitou)
  • beugnons
  • bignettes
  • chochis
  • croquignoles
  • fantaisie
  • frivoles
  • garguesse
  • golottes
  • nouet
  • panisses
  • rondiaux
  • roubigneaux

さらに、何かが入っているベニエも色々あります。
フランスのものでないのも作られているようです。例えば、「ヴェニスのベニエ (Beignets vénitiens)」。

この他にも、たくさんの呼び名があるようです。宗教上のお菓子なので、それぞれの地方で大切に伝統を作ってきたのでしょうね。

ところで、もっとも使われる「bugne」も「beignet」も語源は「buigne」で同じ。これは古い言葉で、「bosse(コブ)」を意味するそうです。つまり、油にいれると、まるで何かにぶつかってコブができたように膨らむから、という理由だそうです!

お店に並んでいたベニエについていた表示。色々な名前があることを示しています


カーニバルのベニエには色々なレシピがあるのですが、一つビデオを入れておきます。


最終更新: 2010年1月



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