エスカルゴの本場はブルゴーニュ

Escargot de Bourgogne


エスカルゴを捕まえてから下味を付けるまで

ブルゴーニュ地方には、エスカルゴの中で最も美味しいといわれるエスカルゴ・ド・ブルゴーニュがいます。エスカルゴは逃げ足が速いわけではないので捕まえるののは難しいわけではないのですが、それを食べられる状態にするには大変な手間がかかります!

しかも環境破壊で野生のエスカルゴは激減しました。今ではエスカルゴを捕まえて自分で調理する人は大変少なくなったいます。簡単に調理できる市販のものを買うのが普通です。フランスでも野生のエスカルゴを食べるというのは例外的なことになっています。
目次: 食用にするエスカルゴとは?
エスカルゴを捕まえてから下味を付けるまで
自家製エスカルゴ | エスカルゴ狩り | エスカルゴを食べられるようにするのは大変な作業! | 下味つけがポイント!
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エスカルゴの調理法
カタツムリを食べる歴史など

自家製エスカルゴ
エスカルゴはブルゴーニュの郷土料理。トップレベルのレストランでは、それぞれに工夫した料理を出します。それでも私は、田舎に住むお年寄りが自分で捕まえたエスカルゴを素朴に調理したものが、エスカルゴ本来のおいしい味を堪能させてくれると感じています。そうい料理を食べさせてくれる人は少なくなりました。この味は、いくらお金を出しても食べられるものではありません!
自分で捕まえたエスカルゴを調理してくれたお爺さんの家で

前菜として用意されたエスカルゴ(5人分)。これからオーブンに入れるところです。

エスカルゴ狩り
昔のブルゴーニュには、たくさんエスカルゴがいたそうですが、環境破壊によって少なくなりました。農薬の使用も影響していると思います。穀物畑が広がる地域よりも、牧草地帯の方がエスカルゴは多く見つかります。

ワインの産地ブルゴーニュで、ブドウの葉を食べて生きるエスカルゴを食べるというのは消えさった夢。それでも最近は農薬の使用を抑えるようになったので、事情は少し変わってきました。知り合いのワイン醸造農家は、減農にしたらブドウ畑にたくさんエスカルゴがいるようになり、歩いていると踏んづけてしまうほどだと話していました。

絶滅の危機にあるエスカルゴなので、収穫に関しては法律によって捕って良い条件が定められています。

中ぐらいの大きさのエスカルゴですブルゴーニュ・エスカルゴは、産卵期の4月、5月、6月には取ることが禁止されています。しかも、取って良いのは直径3センチ以上の大きさにまで成長しているエスカルゴに限られています。

法律に違反してエスカルゴを収穫して逮捕された場合には罰金が課せられます。1個につき2千円くらいの罰金を取られるのだと聞いていたのですが、正確には「750ユーロ以下の罰金(1個につき12万円以下?!)」という犯罪として扱われてしまうのだそうです。

エスカルゴ収穫に関する法律:
 Le cas du ramassage de l'Escargot de Bourgogne, Helix pomatia (INRA)
 Arrêtéé du 24 avril 1979


解禁は7月1日

エスカルゴを見かけるのは春から夏にかけて。ブルゴーニュの田舎では、7月に入ってから2週間くらいの間にエスカルゴを取る人たちが大勢現れます。本当は解禁になる前の方が身が柔らかくておいしいのだ、などと言った人もいました。8月になると身がしまっておいしくなくなってしまうので、解禁と同時に採ろうとするようです。

エスカルゴ狩りをする人たちは、雨あがり、あるいは雨が降っているとき、しかもまだ空が薄暗いうちからエスカルゴを探しに行きます。エスカルゴは湿った場所を好むので。道端の草むら、森などで収穫します。

エスカルゴが好む草、特に触るとチクチクするオルティのあるところは穴場です。
内部リンク(野に咲く花々): オルティ


オルティの生えている道。こんなところが狙い目!

キノコ狩りと同じで、お年寄りたちはエスカルゴがたくさんいる場所を知っています。300個とったとか、800個取ったなどという話を聞きます。

若い人がエスカルゴ狩りをするのは珍しいことです。早起きして取りに行くのは良いとしても、それを食べられるまでにする作業が大変手間がかかるのです。

エスカルゴを自分でとって調理するというのは、フランスでもかなり田舎でしか見られなくなりました。普通のフランス人は、下ごしらえがしてあって、調理すれば良いだけの状態、あるいはオーブンに入れれば良い状態になっているものを購入します。

エスカルゴを食べられるようにするのは大変な作業!
前のページで書いたように生きたエスカルゴを捕まえる人たちがいるのですが、自分で調理するのは、想像を絶するくらい手間がかかります! 缶詰や冷凍食品で下ごしらえしてあるエスカルゴ(つまり殻から取り出してある形)を買って調理するのは簡単なのですが。

野生のエスカルゴから食べられる状態にまでするには、次の作業が必要です:
 ① エスカルゴを探して捕まえる
 ② エスカルゴを寝かせて、お腹の中をきれいにする(1週間くらい)
 ③ エスカルゴを殻と身に分けて、さらによく洗う(かなり時間がかかる)
 ④ エスカルゴに下味をつける(12時間)
 ⑤ エスカルゴを調理する

ただし下準備の方法、下味の付け方などには人それぞれにやり方がありますので、下ごしらえするための時間はある程度は簡略化できます。


もっと詳しいエスカルゴのことを書くために、エスカルゴを水洗いしているところを取材させていただいたお家の庭先。

バケツの中のエスカルゴをよく見えるようにしてもらったら、バケツがひっくり返ってしまいました。ごめんなさい!



私も1度だけエスカルゴをとってみたことがあります。

正式には直径3センチの輪を持って行って、その輪をすり抜けてしまうものは取らないのだと教えられました。でも、そんな輪は売っていないので、持たずに行きました。

雨上がりの朝、長靴を履いて出かけて、60個くらい見つけました。早朝の散歩は楽しかったです。

その後、取ってきたエスカルゴをどうするかについてはグロテスクな作業でもあるので、特に知りたい方だけ! ここをクリックして読んでください

自家製エスカルゴをつくるには、大変な下準備が必要です。何百個も毎年エスカルゴを調理する農村のお年寄りたちは手馴れているのでしょうが、私には気が遠くなるような作業です!

私は大変な手間をかけて下ごしらえをしたのに、お年寄りの人たちが食べさせてくれるような、柔らかくておいしいエスカルゴにはなりませんでした..。自家製エスカルゴは、缶詰や冷凍などとは比べ物にならないほどおいしいので、私もそれができると期待したのですが...。

おそらく下ごしらえでの煮る方法が間違っていたのだと思います。もう一度挑戦してみたい気持ちはあるのですが、大変な作業のことを考えると思いとどまってしまいます。


ところで、前のページで紹介したプチ・グリと呼ばれる種類の小さなエスカルゴは、丸ごと食べられるのだそうです。そういえば、南仏を旅行したとき、このプチ・グリをサザエのつぼ焼のように焼いたものが出てきたことがありました。エスカルゴはソースで食べるものという先入観があるせいか、それほど美味しいとは思わなかったです...。

下味つけがポイント!
生のエスカルゴを調理して食べられる状態にする場合には、殻と身に分けてきれいな状態にした後、さらに下味を付ける煮込み作業があります。これを怠ると、おいしいエスカルゴにはなりません。

色々な野菜、ハーブ、白ワインなどを入れた鍋でコトコトと一晩煮込みます。その前の作業はグロテスクですが、ここからは普通の料理。

フランスで販売されている調理用のエスカルゴには、野菜が入った汁の中にエスカルゴの身が入った状態の瓶詰めになって売られているものもあります。中には、ブルゴーニュの白ワインであるシャブリで煮たという表示があったりもします。

そのような高級エスカルゴならそのまま料理に使って良いのですが、缶詰や冷凍のエスカルゴで、大した下ごしらえをしていないのではないかと疑った場合には、この下味つけを自分でした方が良いそうです。もちろん、すでに煮てあるので、長時間煮直すのは避けるべきでしょうが。

ブルゴーニュの3つ星レストラン のシェフが紹介しているエスカルゴの下味付けのレシピーを入れておきます。

次の材料を入れた鍋で、コトコトと一晩弱火で煮込むというものになっています。
材料(4人前):
  • エスカルゴ 8ダース(96個)
  • ニンジン 2本
  • 玉ねぎ 1個
  • 根セロリ 80g
  • ポワロー(ニラねぎ) 50g
  • ニンニク 3かけら
  • ブーケガルニ(パセリ・タイム・月桂樹の葉などの香草の束)
  • 白ワイン 25cl
  • 塩 15g
  • コショウ(つぶしたもの) 15g
  • ちょうじ(クローブ) 1かけら
  • あら塩
  • 水 5リットル
このレシピでは、エスカルゴはブルゴーニュでもプチ・グリでも同じとされています。ただし、煮込むときには特に火加減に注意。非常に弱い火(60~70度)で一晩煮込みます。火が強すぎるとエスカルゴは硬くなってしまうのです。

*出所: レストランLa Côte Saint-Jacques のシェフJean-Michel Lorainのレシピ

エスカルゴ(食品)を楽天市場で検索
下ごしらえができたエスカルゴを調理します

作成:2003年6月  最終更新:2010年1月

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